一章~出会い~

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後々になって河村さんに何でそんに歌が上手なのかを聞いてみると、彼は高校の頃バンドを組んでいて、そこでボーカルをしていたそうである。 なるほど、どうりで上手なわけだ。そして、その当時はバラのような時代を過ごしていたのだろう。そして、その河村さんは僕のことを初めの頃は感じの悪い人と思っていたようである。確かに僕はかなりの人見知りであるから、初対面の人には無愛想に見られ、感じの悪い人に思われることが今までに幾度となくあった。全く、歌まで下手なばかりでなく、無愛想とまで思われるとは。人に好かれる要素なしだな。 「こんにちは」  お店の人とすっかり仲良くなった僕は、毎日のように通うようになっていた。特にたいした話をしていたわけでもなく、ただ同級生の人よりも会話が楽しかったことだけは覚えている。通い始めて半年以上が経ったある日の学校帰りに、いつも通り店に立ち寄ってみた。  「来たで~」  仲良くなってからというものの、僕は敬語を使わなくなっていた。僕が年上の人に敬語を使わないのは、よっぽど仲が良い証拠である。その時、初めて見る顔の女性がいた。
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