一章~出会い~

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しかし、そんなことは嫌なので、せめて僕の中でだけでも彼女を思い通りの存在にしたかった。彼氏はいないという設定にし、そして彼女も僕に好意を寄せているという妄想である。あぁ、彼女が僕に好意を抱いてくれていたら、僕はどんなことをしてあげられるのだろうか。ディズニーランドにでも行こうかな。なんて妄想は便利なのだろう。これが、現実になれば死んでも良いとさえ思った。  そこで僕はいてもたってもいられず店の河村さんに彼女のことについて聞いてみると、名前は希さんと言うらしい。また同時に、自分のような人はきっと相手にされないだろうと思った。彼女は賢い高校に通っていたのでもちろん頭は良いし、顔立ちは整っていたし。ただ、性格については何もわからなかった。希さんの話を河村さんにしていると、彼から 「メールしよって言えば良いやん」  と言われた。一回の挨拶しかしことないのに、メールしようなんていきなり言えない。言えたとしても、拒否されるか、  「『彼氏がいるから出来ない』と言われるだろう」  というのが本音だった。  希さんを知ってから二ヶ月くらいだろうか、ある日実の兄貴とゲームをしていたところに電話が掛かって来た。
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