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「ちなみにクウは理系? 文系?」 「文系。歴史とか文化の成り立ちに興味があるんだ。 お母さんが歴史学を教えてるからかな」 「じゃあ3年の選択だと歴史を取るんだ」 「そうだね」 「あれ? 理系はなにを取るんだっけ?」 「魔法学だよ」 「一年のときからやってるじゃん」 「だったら歴史学も同じでしょ。3年になったら、もっと専門的な分野を勉強するんじゃないの?」 キャップを開けてお茶を飲み干す。すぐ側にあったゴミ箱に捨てた。 ヤルムのほうはとっくに食べ終わっていたのに、ゴミ箱が見つからず、ゴミを握っている。 「だったら俺は理系かな。魔法好きだし」 「けっこう厳しいよ。魔法学は」 「知ってるのか?」 質問してからヤルムは気付いた。そういえばこいつの親は教師だ。 教師になる条件は幾つかあるが、中には魔法に関する項目がある。 なので教師は全員魔法が使えた。 そんなこと嫌というほど理解していたはずなのに。 自分の記憶力の弱さに思わず呆れてしまった。 「お母さんがよく話してくれるんだ。魔法の難しさ。それに危険さも。 上手く使えば便利だけど、怪我もするのが魔法だって」 「諸刃の剣か」 「そういうこと」 「でも……やっぱり俺は魔法学がいいな。カッコいい」 「だったら理系にしなよ。楽しく学べるほうが上達が早いから」 そうだな。 ヤルムが鞄を開けた。なにをするかと思いきや、いきなりしゃがみ込み、志望校調査とかかれた藁半紙を取り出す。 一緒に下敷きも取り出すと、その場で用紙に『進学希望、理系』と書き込んだ。  
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