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宣言通り、次の日学校に行くとヤルムが用紙提出と叫んでいた。 中には忘れてた奴もいたが、ヤルムがすぐさま懐から手品のように新たな用紙を出して配り、今書くように言っている。 今日中に全て集めきるらしい。 ほんとに出来るのかと期待しながら、クウはヤルムにプリントを渡す。昨日アクロと相談しながら書いたため、きちんと全て埋まっていた。 「よし。OK」 「ありがとうございます」 深々と頭を下げて席に座る。すると後ろにいたライム・アッシュが背中をペンで小突いてきた。 「なあ、ヤルムどうしたんだ? やけに気合い入ってるんだが」 2人してヤルムに目線を向ける。 話題の彼は来る生徒全てに用紙の提出を求めていた。 「アクロ先生に言われたんだって。今日中に集めるようにって」 「全員分?」 「それはわからないけど」 「全員分……集めれると思うか?」 口ではそう言いつつも、ライムの顔は無理だろと書いてある。多分クラス中も全員そう思っているだろう。 だが、クウだけは。 「出来ると思うよ」 はっきりと言い切った。 「だって、ヤルムだもん」 そしてその言葉通り、ヤルムは昼休みまでには全員分集めて提出していた。  
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