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「姉様ぁー。お腹すいたぁー。」
砂漠の真ん中で声が上がった。二人の子供が歩いている。二人とも、長いマントをしっかり体に巻き付け、フードを被り、砂を吸い込まないように、しっかりとマスクをしている。
「次の町にもう少しで着くから我慢して。」
背の高い方のマントからそっけなく声が言う。マスクから辛うじて見える髪は黒く、覗く顔は冷たい。どうやら少女のようだ。もう一人の少年が、えー、と声を上げた。金色の髪が見える。
「僕もう動けない。」
少年がそうぼやくと、少女がきつい眼でキッと睨んで吐き捨てた。
「じゃあここで干からびて死になさい!」
風が吹き荒れ、砂が舞う。
少年はむくれていたが、
「姉様のいぢある。」
と、しぶしぶ歩きはじめた。その様子を見て姉は深々とため息を吐いた。
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