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魔理沙は渡された物を確認していく。普通自動車の運転免許に保険証、パスポート、なぜか学生手帳まである。いずれにも紫の顔写真が貼り付けてあるのだが……。
「歳おかしいだろ歳。十九はないぜ……」
「あら、魔理沙は私のこと十七だと思っていてくれてるのね。嬉しいわ」
「魔理沙、私にも見せて」
アリスは魔理沙から免許証を受け取り、まじまじと確認した。
「見事な偽造だと感心するがどこもおかしくないわね」
「もう、降ろして……」
アリスの隣で、窓に額を押し付けながら血の気の失せた顔でパチュリーは呟いた。頭痛や胃のむかつきなどが先程から続いており、辛くて仕方ない。
アリスはスカートから伸びた足を投げ出すと、パチュリーを見た。そして不思議そうに首をかしげる。
「ちょっと、どうしたのよ」
「この乗り物、揺れて、気分が……」
蚊の鳴くような声で洩らしたパチュリーは目を閉じた。こうでもしないと堪えられそうにないようだ。
苦しげなパチュリーにアリスは、ちょっと待って、と言い、ショルダーバッグを探って丸薬の入った小瓶を出し、その瓶をパチュリーに突き出した。
「これでも飲みなさい。吐き気止めよ」
「あ、ありがとう」
パチュリーは瓶を受け取ると、アリスは人差し指をたてた。
「魔道書一冊ね」
「む……、分かったわ」
苦い丸薬を飲みながら、パチュリーは力なく呟いた。
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