少女達の夏休み

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「ケチだな、アリスは」 「パチュリー的にも下手に借りを作るより良いと思うけど」 「というかなんでそんな薬持っていたんだ?」  不思議そうにアリスの顔をのぞく魔理沙。 「あんたの後ろに乗るといつも気分が悪くなるのよ。といっても乗ること少ないけど、万が一というのに備えて永遠亭の医者からね」 「お前が遅いからだろ」 「運転が荒いのよ」 「ああ、そうかい。今の、植物の名前だぜ。亜阿相界」 「あっそう」 「反応薄いな」  つまらなそうに魔理沙はアリスから視線を外し、窓の外を見た。 「ま、まだ目的地に着かないの?」 「そうねぇ、後一、ニ時間くらいかしら」 「そんなに!?」  パチュリーは立ち上がって助手席の方を掴むと、紫に向かって叫んだ。紫は目を上げ、パチュリーに向ける。 「まあ……気長に待ちなさいな。ところであなた、そんなに大きな声出して大丈夫かしら?」 「う」  パチュリーは身を引き、そっと席に腰を下ろした。どうやら薬はまだ回っていないようで、気分の悪さが顔に出ていた。それに加えて大きな声を出したせいで、それが増したのだろうか。アリスは、口を押さえているパチュリーに小さなビニール袋を差し出した。 「そういうのは出したほうが早いわよ」  パチュリーは僅かに頷き、アリスから袋を受け取った。 「これって、窓は開くのかしら」 「そこのボタン押せば開くわよ。ちなみにドアのレバーはダメよ」  紫に言われたとおり、アリスはボタンを押して車の窓を開けた。すると風が車内に入り込んでくる。  そして、横からは呻き声と、袋に液状のものが落ちる音がしていた。どうやら飲んだばかりの薬も出ていそうである。アリスはパチュリーの背をさすりながらため息を吐いた。
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