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ランドマークタワーなる建物を、アリスはまじまじと見上げていた。
周囲のビルより一際高いその建物は、非常に目立ち、探すのに苦労はしなかった。魔理沙達は、どうやらビルの上にスカイガーデンという展望フロアがあるらしく、先にそちらに行っているようだ。
アリスはと言えば、パチュリーのペースに合わせてゆっくりと歩いていた。
普段は紅魔館にある図書館に籠もりっきりの彼女が、こんなに天気の良い青空の下を歩くなんて、と思わず笑いが漏れる。
声が聞こえたのか、とぼとぼとアリスの後ろを歩いていたパチュリーはむっと唇を尖らせ、ペースを上げてアリスを追い越して前を歩き出すが、それもすぐに終わり、元のペースでアリスの後ろに戻っていた。
「こんなに長く歩いたの、何年ぶりかしら……」
「どんだけ歩いてないのよ」
「歩く必要なんてあるのかしら。飛べるのだし」
「あるじゃない、今ここで。ほら、もうすぐ中なんだからしっかりしてよ」
そう言ってアリスは入り口へと向かっていく。パチュリーもアリスにあわせるように早足でついていった。
天井はガラス張りになっていて中はけっこう明るく、有名な場所だけあって中も人通りが多く、気を抜けば人の波に紛れてしまいそうだ。
アリス先に魔理沙達と合流してから回ろうと考え、展望フロアに向かおうとしたがパチュリーが隣におらず、辺りを見渡せば近くにあったベンチに座っており、目が合ったアリスに向かってパチュリーは両腕をクロスさせてバツの字を作った。
「ちょっと! 休むなら先に合流してからにしなさいよ」
「いいじゃない、少しくらい」
アリスはパチュリーの腕を引っ張り立たそうとするが、逆にパチュリーは、アリスの腕にぴったりと体を寄せた。腕に接した彼女の胸に、アリスは戸惑う。
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