少女達の夏休み

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「良いわよね?」 「す、少しだけよ」  更に身を寄せてきたフローレンスに、ダニエルは思わず顔を伏せた。照れと緊張と戸惑いで、固まってしまった。 「ありがとう、アリス」 「別にお礼なんて言わなくていいわよ」  真顔でお礼を言われ、アリスは思わず少しにやけてしまった表情を隠した。 「ついでだけど、三階にジェラートが売ってる店あるらしいから買ってきて」 「……なんで私が?」 「貴方しかいないもの。普段なら小悪魔に頼むのだけれど」  パチュリーは悪びれもなく言う。 「というか、なんでそんな事知ってるのよ」 「ほら、あちら側に座ってる人に聞いてみたのよ」  指を指した方向をアリスは見た。そこには若い男女がベンチ座っており、なにやら手に持って食べている。あれがジェラートなんだろうか、と見ていると丁度女性と目が合い、隣にいたパチュリーを見たと思ったら睨まれてしまった。 「……あんた、あの二人に何かしたの?」 「食べているものがどこで売ってるか聞いただけよ。ああ、何か男の方が私を見て赤くなっていたわね」  どんだけこの魔女は鈍感なんだろうか、とアリスは思わずこめかみを抑えた。
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