日常

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「あ……、美味しく無かったですか……?」 驚きで固まっている俺を見て、麗菜が申し訳なさそうに言う。 「い、いや……これは麗菜が作ったのか?」 「え?は、はい……」 因みに、俺の席は一番後ろで前に俊樹、俊樹の左隣が麗菜の席だ。 で、あるからして麗菜は後ろを向く形で俺に向かっている訳だが…。 ポンと麗菜の肩に手を置く。 「このサンドイッチで俺と世界を目指さないか?」 「ええ~!?」 困った顔で言う麗那は、 成る程… 女に興味の無い俺でも少しドキリとしてしまう程に可愛かったりする。 「む、無理ですよぉ~」 「はは。すまんすまん。冗談だ」 サンドイッチを一つ掴み、 「いや、しかし冗談抜きでこれは美味い。サンドイッチでここまで人を感動させる事ができたのか……」 「あ、ありがとうございます……」 照れた顔をする麗菜。 「畜生!何でこんな奴がモテるんだ……。 僕を差し置いてラヴラヴしやがって!なんと妬ましい…」 俊樹が泣き真似をする。 全く……、こいつは顔は悪くないのだが、 この性格さえ何とかすればそれなりにモテるだろうに……。 つくづく、損な奴だ。 「ねぇねぇ、麗菜ちゃん。こんな奴ほっといて僕の彼女にならない?」 「いえ……高野さんには私なんかよりもっと良い女性の方がお似合いだと思います。」 所要時間わずか8秒の早業。 ギネスに申請したら受理されるのではないか? 「うぅ…。鬱だ…死のう…」 フラフラと教室を出ていく俊樹。 「あっ……!高野さん……」 その姿を麗菜が心配そうに見守る。 「大丈夫だ。あいつは殺しても死なねぇよ」 「はい…………」 「…………………」 閑話休題。 いつもは俊樹が話を振ったりして自然な感じだったが……。 今やっと気付いたよ……。 あんな奴でも居なくなったら少し困るって事に。 ……少し自分が情けない。 「……次の授業なんだっけ?」 なぜ、人というものは(学生限定ではあるが)話題に困ると次の授業の事を訊くのだろうか。 「次は……えっと、国語Aですね」 「そうか…………」 しかし、そんな会話はあくまで場しのぎであり……、 「…………………」 「…………………」 再・気まずい。 ここら辺だけニュートン度が高くなったのだろうか? この何とも言えない空気が俺に重くのし掛かった──
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