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信号が変わり、駆け出した俺は、次の瞬間に強い衝撃を受けた。
「えっ?」
俺の身体が、トランクのフロントに張りついて飛んでいた。俺は昔に読んだ漫画を思い出していた。
(「マサルは3メートル飛んだ」って嘘やん。)
トラックの急ブレーキの衝撃で俺は投げ飛ばされた。
(カッコ悪…)
俺は転がりながら思った。不思議と痛みは感じなかった。
…友達…仕事…家族…
やり残した事が走馬灯の様に頭を走った。
…ジュン…子供…
遠いのか近いのか分からない場所に明るい出口の様な穴が見えた。
「ドクン。ドクン。」
まだ小さな鼓動。
俺は手を伸ばした。
明かりに触れると、身体が光に包まれ消え始めた。
「あぁ…」
同時に記憶も解けていく。
(守らなければ。)
その言葉を最後に、俺は完全に無になった。
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