プロローグ

2/2
前へ
/21ページ
次へ
 信号が変わり、駆け出した俺は、次の瞬間に強い衝撃を受けた。 「えっ?」 俺の身体が、トランクのフロントに張りついて飛んでいた。俺は昔に読んだ漫画を思い出していた。 (「マサルは3メートル飛んだ」って嘘やん。) トラックの急ブレーキの衝撃で俺は投げ飛ばされた。 (カッコ悪…) 俺は転がりながら思った。不思議と痛みは感じなかった。 …友達…仕事…家族… やり残した事が走馬灯の様に頭を走った。 …ジュン…子供… 遠いのか近いのか分からない場所に明るい出口の様な穴が見えた。 「ドクン。ドクン。」 まだ小さな鼓動。 俺は手を伸ばした。 明かりに触れると、身体が光に包まれ消え始めた。 「あぁ…」 同時に記憶も解けていく。 (守らなければ。) その言葉を最後に、俺は完全に無になった。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

99人が本棚に入れています
本棚に追加