枯れ葉

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 オレが呼ばれたのは、仕事中のことだった。実家の花屋で配達の仕事の最中、携帯電話が鳴った。相手はメグちゃん。メグちゃんといっても、悔しいことに女の子ではない。男の子……いや、立派な男性だ。小学生のときからの親友、トモの兄貴で、何かと面倒を見てくれた。うざいほどに。 ――メグちゃんにはなぜか逆らえないんだよなあ。  トモとは小学1年のときから同じクラスで、名前が近いことから席が近かった。トモは大人しいけれど話しやすくて、仲良くなるのに時間はかからなかった。一緒に遊ぶ内、メグちゃんとも仲良くなった。今にして思えば、面倒を見てもらっていたのかもしれない。  トモが小学校高学年の時、トモの両親が離婚した。トモは母親に、メグちゃんは父親に引き取られたそうだ。それで名字が違うらしい。でもメグちゃんが就職してすぐ、トモを引き取ったから、2人が離れた時間は2年くらいだ。トモの両親が今どうしているかは知らないけれど、メグちゃんがたくさん頑張ったのは知っている。今トモが悠々自適な大学生活を送っているのも、1人暮らしをできるのも、メグちゃんのおかげだ。  そんなメグちゃんがオレの“兄”になる日もそう遠くない、らしい。
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