見つめていたい

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「何気持ち悪い顔してんのよ」  1週間ぶりに実家に帰ると、リビングで、弟が気持ち悪いくらいに上機嫌で寝転がっていた。こういう気持ち悪い顔のときは、恋をしたときだ。小学3年のとき、トモくんを女の子と勘違いして告った。まあトモくんには告白と受け取られ無かったみたいだけど。中学生のときは、私の友達。高校のときは、部活の先輩だっけ。フラれてばかりの我が弟。理想が高すぎるのよね、バカだから。 「おお、お帰り」  今、私に気づいたというような顔をする正木(まさき)。 「トモくん熱が3日下がらなかったんだってね」 「おーう、らしいなー」  心ここにあらずといった様子で、正木は答える。 「携帯電話、鳴りっぱなしだけど出ないの?」 「うおっ」  正木はやっと気づいたらしく、ブルブル震える携帯電話を手にした。どうやら、店を手伝えというお母様からの電話らしい。みるみる内に正木は現実に戻る。 「いま行く」  母さんのマシンガントークに追いつめられ、正木は起き上がった。面倒そうに立ち上がると、1階にある店――花屋――へと下りて行った。 ――母さんが、ここ1週間正木の様子が気持ち悪いと言っていたけど、本人は気づいているのかしら。  久しぶりの実家でせんべいでも食べようかとソファに腰を下ろした時、盛大な悲鳴が聞こえた。 「ウギャアッ」
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