兄と弟

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「兄貴、帰ってきてのか?」 宗谷の兄、潤也(ジュンヤ)は口元を緩めただけで、入れたてのコーヒーを弟のカップに注いでる。少し苦く香ばしい香りが、宗谷の眠気をゆっくりと覚ましてくれる。 「早く座れ、冷めちまうぞ」 二人掛けの小さなテーブルには、何ヶ月ぶりかの朝食が並んでいた。 黄身がトロトロのベーコンエッグ、レタスとトマトのサラダ、シリアル、プリン、全て宗谷の好きなものばかりだ。 「なぁ兄貴、もちろんこれはメイ○ーのなめら○プリンだよな。」 「あぁ、もちろんメ○トーのなめ○かプリンだぞ」 「ところでどうしたんだよ、急に。学校辞めたのか?」 宗谷は寝癖で乱れた短い黒髪を気にしながら、兄と向かい合うように座った。 「コンビニ飯ばっかりで栄養が偏ってる弟を心配して来てやったんだ。感謝の言葉の一つぐらいあっても良いんじゃないか?」 「別に頼んでねぇよ」 「おまえ、メシを作ってくれる彼女はいないのか?」 「ほっといてくれ」 「メグちゃんは、どうなんだ?」 「あいつはダメだ」 「いい子なのに…。そうか、勝てない相手じゃ格好つかないよな」
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