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とりあえず無視をする
どうせ無理だろうけど、それでも僕が平穏無事に過ごすには、その方法以外ない
「ねぇ彼方聞いてる?聞こえてるでしょ」
目の前に座ってる彼女の声が苛立っていくのが分かる
それでも僕は手に持ってる本に目を落とす
ちなみに内容はカール・パンズラムという人物の自伝だ
彼は22件の殺人をしたと言われたが立証出来ず他の容疑で懲役25年を言い渡され投獄された後は作業監督を鉄棒で殴り殺し起訴された
彼は明確に死刑を望み
本人の望んだ通り死刑になり最期の言葉は執行人に
「さっさとしろよ、田舎者め。お前がもたもたしてるうちに俺なら10人は殺せるぞ!」と罵ったものである
こういう本は嫌いじゃない
それに看守のヘンリー・レッサーと彼の関係も
「ふーん、そう私の事、無視するのね。あんたがそういう態度取るなら、こっちにも考えがあるわ」
背筋がゾクリとするような声色が本の内容に集中していた僕の耳に無慈悲にも入り込む
カール・パンズラムに最期罵られた執行人もこんな気持ちだったに違いない
「あんたが中学二年」
「で、何だって?睦月」
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