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「最初からそうすればいいのよ」
彼女は悪びれた様子も無く面倒くさそうにそう呟く
彼女が何を言おうとしたのかは分からないけど碌な事じゃないだろう
きっと思い出したくもない事だ
「それで何?」
「だから私、人を殺したわ」
僕達2人以外誰も居ない教室
既に空はオレンジ色に染まりグランドで部活をしていた運動部も練習を終えようとしてる
何となく、その様子を見てから僕の前の席に座ってる彼女を見る
頬杖をついて気だるげな表情を浮かべる横顔は何だか綺麗だった
「そう」
僕がそう答えると彼女はこちらを向き変な物を見るかのように眉をひそめた
どちらかと言えば睦月の方が変な事を言ってるのに
「あんた私が冗談か嘘を言ってると思ってるでしょ?」
「思ってないよ。今更、睦月が僕にそんなしょうもない冗談とか嘘つかないだろうからね」
もし、睦月が僕に嘘を言うとしたら、それは睦月にとっても僕にとっても重要な何かで、とっても厄介な事態になった時だけだろう
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