浦ちゃんと金色の猫

10/10
前へ
/10ページ
次へ
     ● あれから3日が経った…。 変な出来事だったなぁ…。 金ちゃん…。 忘れられない…。 あーあ、やっぱり夢だったのかなぁ…。 あれから何回か合コンに誘われたけど、金ちゃんが忘れられなくて、ずーっと断っている。 また、会いたいなぁ…。 僕は、深くため息をつきながら家に帰ると、玄関に段ボール箱の山があった。 「何?これ…。」 迷惑気に避けながら上がると、先輩とリュウタが、 「新しい同居人が来るらしいぞ!しかも、また、男なんだってよ!」 「んで、亀ちゃんの隣の部屋だって!」 「え?あ、そうなんだ…。」 「なんだよ!ノリ悪いなぁ!もうそろそろソイツが来るはずなんだが…。」 「もう、3時だよ!約束は二時半だったのに!」 リュウタと先輩がうだうだ言っていると、 『ピンポーン』 チャイムがなった。 近くにいた僕がドアを開ける。 「こんにちは!」 Σ! 僕は、顔を見た瞬間、固まってしまった! 男なんだけど…。 男なんだけど、金色の瞳、綺麗な黒髪の金色のメッシュの長髪…! そしてその声…! 忘れるワケが無い! 僕が、呆然と立っていると、中に入って来て、とびっきりの笑顔で、 「金です!今日からここでお世話になります!よろしくたのんますわ!」 か、関西弁…! あんまりにもビックリして、ずっと固まっていると、僕の後ろにいた先輩とリュウタが、 「じゃあ、あっちで自己紹介しようぜ!」 「うん!どうぞ、上がって!」 「おおきに!じゃあ、早速…。」 彼が上がろうとした時、下に置いてある段ボールにつま付いた。 とっさに僕が、支えてあげると、彼は 「浦、おおきに。」 と、言って上がっていった。 え? もしかして…。 僕は横を通る彼の首の右側を見ると、僕がつけた紅い印が付いていた。 彼は振り返って僕を見ると、小さく 「にゃあん」 と、言った。 なぁんだ、金ちゃん、本当は男だったんだ。 そりゃどーりで僕のとっておきの笑顔で釣れないはずだ! じゃあなんで女の子の姿に…? 謎だらけだなぁ…。 とにかく、金ちゃんが男でも、僕の胸がドキドキしたんだよね…。 金ちゃん…。 君が女の子だろうと男の子だろうと関係なく、僕は君が大好きだよ…。 約束守ってくれてありがとう…。 君に出会えてよかった。 僕は、嬉しそうに笑いながら、リビングに向かった。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加