浦ちゃんと金色の猫

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     ●     暫くすると、彼女は起き上がり、窓の方へフラフラと向かった。 窓からは、眩しい位月の光が射し込んでいた。 彼女は窓の前に立ち月の光を浴びる…。 月の光が彼女を包む…。 すると、みるみるうちに彼女の耳と尻尾が消えていった! 彼女はうーんと一回伸びをすると、 「あー!やっと人間の姿になれたわ!」 Σ! い、いきなり、し、しゃべったぁ~!!!!!! 何?なんなの!? 僕は頭がパニック状態になった。 目を丸くして驚いている僕を見て彼女はニッコリ笑うと、 「人間の姿にしてくれて、おおきに!」 そう言いながら、僕に近づいて来た。 そして、ベッドに座ると、 「なぁ、お前名前は?」 …。 この子…。 関西弁だし、口悪っ! 「ちょっと…。君、人に名前聞く時は、自分から名乗るもんでしょ」 僕がため息混じりに話すと、 「ほぅか、んなら、俺の名前は金や!」 「きん…?」 「そう!金!」 「じゃあ、僕は浦だよ、よろしく金ちゃん。」 「ふーん浦か」 そう言いながら金ちゃんは髪の毛を弄っていた。 な、なんか興味なさそう…。 かなり、失礼だな、この子…。 「そう言えばさっき人間になったとか言ってたけど、それどういう事?」 僕が、不思議そうに訪ねる。 「ん~?あぁ、実はな、俺、酔っ払ってて、猫をいじめて遊んでたら、その夜中に猫の神様といじめた猫が出てきて、呪いをかけられてん」 金ちゃんは、淡々と喋るが、僕はあまりにも不思議すぎる話に驚いていた。 「な、何それ…!おとぎ話じゃあるまいし…。」 すると、金ちゃんは少しムッ!としながら、 「ホンマやねんからしゃーないやろ!んで、人間になるには、性行為をして、月の光を浴びなアカンかってんけど…。俺、姿はめっちゃ猫やん!せやから、一年位ずーっと、このままやってん。」
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