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「全然、違うよ!名前っていうのは、その人、その人によって違うんだよ!コードネームは私がいなくなったら、次の子がNo.Hになるでしょ?前の名前は忘れちゃったけど、Hなんて名前、嫌だもん。」
「じゃあ、何にするの?」
訪ねると、彼女は恥ずかしそうに微笑みながら、私にそっと耳打ちして教えてくれた。
「実はね、もう決めてるの。Hだからハル。春って意味なんだよ。」
その季節が大好きなの、と言った。
「ハル…ハル…」
何度となくその名前を復唱し、彼女に止められたほどだった。
それ程までに忘れたくないものだったのだろう。
「で、Jの名前なんだけど…」
私の心はいつになく弾んでいた。
自然と笑顔になっていた。
「Joker、なんてどう?」
「ジョーカー…」
とても嬉しかった事を覚えている。
物心ついてから初めての事だった。
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