第3話

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「全然、違うよ!名前っていうのは、その人、その人によって違うんだよ!コードネームは私がいなくなったら、次の子がNo.Hになるでしょ?前の名前は忘れちゃったけど、Hなんて名前、嫌だもん。」 「じゃあ、何にするの?」 訪ねると、彼女は恥ずかしそうに微笑みながら、私にそっと耳打ちして教えてくれた。 「実はね、もう決めてるの。Hだからハル。春って意味なんだよ。」 その季節が大好きなの、と言った。 「ハル…ハル…」 何度となくその名前を復唱し、彼女に止められたほどだった。 それ程までに忘れたくないものだったのだろう。 「で、Jの名前なんだけど…」 私の心はいつになく弾んでいた。 自然と笑顔になっていた。 「Joker、なんてどう?」 「ジョーカー…」 とても嬉しかった事を覚えている。 物心ついてから初めての事だった。
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