序章

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「だって… これが飲まずにいられるかっちゅーの!!」 「かといって、 周りに迷惑かけるのもどうかと思うけど?」 「う…としきが冷たい…」 ブツブツ言いながらも、 バーテンが手渡してくれた水に口をつける。 大人しく、 としきが頼んだ水を飲んでいるのは、 中学時代からの腐れ縁である彼が、 怒ると、自分が酔っ払うより面倒だと すみれは知っていたからである。 前に怒らせた時なんか、 三ヶ月間、口をきいてもらえなかった。 中学の時、 転校してきたとしきは、 今や同じマンションに住み (勿論、部屋は別だが)、 地元から遠く離れて暮らしている すみれにとって、唯一、 心許せる親友だからである。 .
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