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「あの、どうかしました?」
「刑事さん、俺は何の罪で捕まるんです?ほら、心の準備ってもんがありましてね。執行猶予がつきそうとか、実刑食らいそうとか、色々と」
「そんなに悪いことしてたんですか?」
ん?なんだその戸惑いの態度は。ていうことは、俺を捕まえに来たんじゃねえのか。
「いえいえ、刑事さん見るのは初めてでしてね。気が動転しちゃって」
「面白い人ですね」
「まあ上がって下さい。食べながらお話を伺います」
好青年に座布団を勧めてから、俺はビーチチェアーに腰掛けて弁当の続きを食べた。
「まず、この写真を見て下さい」といって、好青年はテーブルに二枚写真を置いた。
一つは見覚えがあった。確か一週間ほど前に占った、ていうか俺の虚言を聞きに来たアホっぽい女じゃねえか。
もう一つは見覚えがない。男の顔なんざ数秒で忘れるようにしている。
「高山亜紀、十九歳。こっちは彼氏の桜田騎士。実はこの彼氏を逮捕しましてね、罪状は詐欺未遂」
「へえ~、なるほど。そうですか」
「あなたの占いで逮捕出来たんですよ。しかし、占いって凄いですね」
「いやあ、それほどでも」
「そんなにご謙遜なさらないで下さい。店で聞いたら、学生時代はオカルト研究会に所属していたらしいですね」
「ミランダ研究会っていうオカルト集団です。重度の変態が集まってましてね」
「しかし、素晴らしい能力です。本当に感心します。未来の犯罪もわかるんですねえ」
「占い師なら当然です」
「あなたは日本一の占い師だ」
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