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「いやあ、それほどでも」
「いや、世界一だ。ダウジングですべてを見通せる偉大な予言者だ」
「そんなに持ち上げないで下さいよ。本当もう、占い師だったら簡単に当てられることですから」
「簡単に、ですか?」
「そうそう、簡単簡単」
「簡単に、ですね?」
「そう、簡単。何回もいわせますね」
この好青年の、奇妙な言い回しに気がつくべきだったのかもしれない。といっても、そんな細やかなことに気がつくほど、俺は賢くねえんだよなあ。
賢かったら、占い師なんかしてねえしよ。
「ということは、未解決事件の犯人を占って探すことも、当然出来ますよね」
「簡単簡単」といってから俺は、あれ?何か変だなと引っ掛かった。
好青年は、契約書を俺に見せた。内容は恐ろしく単純なもので、半年間俺は警察の専属占い師になり、犯人を占いで探す業務に就く、と書かれている。半年後に契約を更新するが、基本的には自動更新となる。
なんてこった!
警察まで占い頼りとは、なんて責任感のない奴等だ!近いうちに日本は滅びるんじゃねえか?
「警察と俺との間に、雇用関係が出来上がった、と?」
「あなたは契約の関係上、備品扱いになっていますが、雇用関係に近いです」
占いで犯人なんか見つかるかよ、ボケが!頭に蛆かミミズか蛙でも涌いてんじゃねえねか?
「嫌っていえば、どうなります?この書面だと店と警察との契約だし、僕が自主解雇なりして店を離れれば、この契約書は無効になるんじゃないですか?」
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