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「彼氏と仲間はアキちゃんを集団で暴行しようと企てています。ついでにお金も脅し取ろうとしていますよ」  ボカンと口を開いてやがる。笑ってやりたいけど、今は仕事中だ。占い師が客を観て笑うわけにもいかない。 「暴行って、トモぴーが?」 「今から半年から一年後、トモぴーの友達が偶然を装って、アキちゃんの部屋に焼き芋を持って現れます。その焼き芋には睡眠薬が入ってまして、眠ったところを暴行されビデオで撮影されます。そして彼氏経由で脅されます。金を払え、いやオリジナルのDVDを買い取れ、とね。彼氏は払おうとするがお金が足りない。そこでアキちゃんは足りない分を払おうとします。トモぴーに連れられて消費者金融のカードでキャッシング、八社合計二百五十万円。会社名を順にいいましょうか?」 「アキちゃんもう聞きたくない!トモぴーが、そんな、信じられない!」  女が手で顔を押さえて泣き出した。マスカラが流れ、目を大きく縁取りしてパンダみたいになってやがる。 「アキちゃん暴行されたくない!嫌だ嫌だ嫌だ!」  話の選択を間違えたかな?大声出したり泣いたり、拒絶反応が強すぎる。やっぱ彼氏の父親が痴呆になり施設で介護してたら入れ歯を洗わされる、という話の方がよかったかなあ。それとも実は彼氏は土星人で、そのまま付き合っているとキャトルミューピレーションされて内蔵や脳や肢体を切り取られ、土星立医科大学の標本室に展示されるぞ、の方がよかったかな。  まあいいか。金さえ払ってくれたらどうでもいいや。
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