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それは、彼女の指先からレーザーが放たれた事実に驚いているのではない。
ここは『魔術師養成都市』という名目を持つ町で、この町に住む学生たちの全ては『魔術』という特別な力を開発されており、そんな少年少女たちを集めて作られている。
当然、この町に住み学校に通う箕島竜也たちも、その例に漏れず彼女と同種の異能の力を持っている。
つまり、彼らは素直にその威力に驚愕し、何よりも早乙女聖が自分たちの前に立ち、攻撃してきた事実に驚きを隠せないのである。
ザザザッ! と箕島竜也たちは打ち寄せた波が引くように、その顔色を青白くして後退してゆく。
それでも箕島竜也がカラカラの喉から搾り出した言葉は、
「な、なんでアンタが出てくんだよっ!?」
「何よ? 私が来たらマズい事でもしてたのかしら?」
ぐ……ッ、と言葉を詰まらせる箕島竜也の頭には、もう「どうやって逃げ出すか」という思考のみとなり、自分たちも「魔術で早乙女聖に対抗する」という思考は欠片もない。
勝てるワケがない、と頭も体も魂も理解しているのだ。
魔術師養成都市から選出された最高位に位置する五人の内の一人、『白雷』が早乙女聖という少女なのだ。
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