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それは、当然の力量差であり、
それは、必然の結末だった。
バチン! と帯電した右手を気にした様子もなく、早乙女聖はプリーツスカートのポケットから棒付きのキャンディを取り出し、口にくわえる。
そのまま、甘いキャンディの棒を弄びながらも、その目は地に伏している箕島竜也たち六人を見下していたが、すぐに興味を失ったのか視線を灰村諷音へと移す。
「こんな弱いヤツらにやられるだけで反撃もしないなんて、情けないわね」
それでも男の子? と言いたげな蔑んだ視線を灰村に向けていた聖は、ふいに「あれ?」と疑問に思う。
いや、正確には『疑問に思った』のではなく『昔の記憶を思い出そう』としているのだ。
そして、彼女の脳は『彼』をすぐに思い出した。
「アンタ……、」
それに気付いた聖は、口と鼻から血を流し、打撲痕だらけで気を失っている灰村へと近付き、その顔を自分へ向ける。
そして、確信した。
「やっぱり……灰村諷音、よね」
そう言って聖は柔和な笑みを浮かべた。
それは、まさに『聖女』と形容されるに相応しい存在感だった。
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