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気のせいです。 とキッパリと返された聖の言葉に真雪も小さく笑う。
彼女は行動的で親しみやすい性格をしている為、学生の間でなかなかの人気を有している。
その例に漏れず、聖も真雪の事は信頼しているし、好きでもある。
「まったまた~。アンタくらいの年齢なら彼氏の一人や二人いてもおかしくないでしょーよ」
「あはは、二人もいらないですよ」
「それは一人なら欲しいって事よね?」
ただ、しつこい部分だけは直してもらいたいと思ってもいる。
「そうですね。好きになれる人がいれば、作るのも悪くないと思ってますよ」
「あらあら、流石は聖女サン。随分と余裕な発言ですこと。女の子たちを敵に回すわよ?」
「そうですね、気をつけます」
聖の答えに満足したのか、二度ほど頷いたあと、真雪は会話を終わらせる。
「そうしなさい。あ、明日も早いんでしょ? 早く寝なさいよ? 目の下に隈作って登校したら評判が下がるわよ」
冗談混じりの真雪の言葉に聖も「は~い」と答えて手を振り、窓とカーテンを閉じる。
「はあ、明日……、話し掛けてみようかな」
そう呟いて、聖はベッドに横たわり普段とは少しだけ違った一日を終えた。
そして、自分の寮を探し彷徨っていた灰村は、
「ここ……、どこ?」
彼女が眠りについた後も一人彷徨うのだった。
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