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「お腹が空いたー」
「はあ」
疑問符を頭に浮かべ、一応の返事を返すと、聖は大きなため息を吐く。
「だから、私はお腹が空いたの。灰村くんがなかなか出て来ないもんだから結構待たされたし」
待たせていた覚えはありませんよ? とはとてもじゃないが言えない雰囲気の為、ここは沈黙を貫き通す。
「秋とはいえ肌寒いし、暇だし、知らない男子には声かけられるし……、だから責任とりなさい」
「あの……、目的が変化していませんか?」
手当てしてもらったお礼だったはずが、いつの間にか不愉快にさせたお詫びに変わっている事を指摘すると、
「ああ、別に驕らせる理由なんで何でもいいわよ」
「ぶっちゃけちゃったよっ!? しかも、後半の理由は明らかに僕のせいじゃないしっ!?」
あまりの理不尽さに思わずツッコミを入れてしまった灰村に、聖は決まり悪そうな目を向ける。
「い、いいじゃない! 手当てしてあげたのは事実だし、何よりもこんな寒い中アンタを待っててあげたんだから!!」
それを言われると途端に立場が弱くなってしまう灰村。
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