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† † †
深い闇色の世界にポツンと佇む一人の少年がいる。
先程まで六人の少年たちに肉体と精神に苦痛を与えられていた闇と同化するような黒髪に一房の輝く銀髪を持った少年だ。
彼――灰村諷音(はいむらかざね)――はすぐに『ここ』がなんなのかに気付く事が出来た。
「また、ここなんだ」
その独白にも似た小さな呟きは闇に溶け込むように吸い込まれ、誰に届く事もなく消える。
「大丈夫。忘れてないよ。これは僕の――“罪”だから」
その言葉に呼応するように、灰村諷音の周囲の闇が霧散する。
それは、忘れるなと言うように。
それは、思い出せと戒めるように。
突如として現れた。
灰村の足元を隠す程の人間が倒れ、微動だにしない光景。
その全てが、まごう事なく『死体』だった。
今の灰村よりも幾分か幼い死体は一二歳から一五歳ほどの少年たち。
その数、およそ五〇体。それら全ての目が、灰村諷音ただ一人に向けられている。
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