まえがき

1/1
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ

まえがき

私は10年ぶりに生まれ 育った故郷に帰ってきた 駅を出た私の足はすぐに 歩くことを拒否し始めた 仕方なく煙草に火をつけ ベンチに腰をおろした 黄色の帽子を被った小学生が 並んで家に帰る姿が見える その反対側には高校生達が 地べたに座り談笑をしている 遠くで聞こえていた救急車の サイレンが大きくなってきた 私の心に呼応するかのように 辺りはだんだん騒がしく なりはじめてきた 2本目の煙草に火をつけたと 同時に時計台の針が15時を差し 7人の小人達が踊り始めた それを見て私は再び重い足を 約束の場所へと運びだした
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!