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まえがき
私は10年ぶりに生まれ
育った故郷に帰ってきた
駅を出た私の足はすぐに
歩くことを拒否し始めた
仕方なく煙草に火をつけ
ベンチに腰をおろした
黄色の帽子を被った小学生が
並んで家に帰る姿が見える
その反対側には高校生達が
地べたに座り談笑をしている
遠くで聞こえていた救急車の
サイレンが大きくなってきた
私の心に呼応するかのように
辺りはだんだん騒がしく
なりはじめてきた
2本目の煙草に火をつけたと
同時に時計台の針が15時を差し
7人の小人達が踊り始めた
それを見て私は再び重い足を
約束の場所へと運びだした
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