37人が本棚に入れています
本棚に追加
〈ヴィルダside〉
国の中央にそびえ立つ教会
国の民はリセクトリアがあることで守られ、日々を平和に暮らしている。
その事実を誰も疑わない
俺はヴィルダ・セラフィ。
《リセクトリア》につかえるエクソシストだ。とはいえ別に神を崇拝しているわけではない。悪魔が本当に邪悪な存在かどうかも、いまだわからずにいる
「なぁに、またこんな遠くからあの子を見てるの?」
「……」
「いくら妹だからってかわいがりすぎじゃない、ちょっと異常よ」
俺がここにとどまる理由はただ一つ。あの子がいるからだ。
アメリ・セラフィ
妹と言っても血が繋がっているわけじゃない。俺とアメリは血なんかじゃない、もっと深い絆で結ばれてるんだ
「ねぇ、ヴィルダってばっ」
「うるせぇな…」
「えっ」
あの子が変わらず笑ってくれるなら、それだけでいい。
それ以外に、それ以上に価値のあるものなんて、こんな世の中にあるはずもない。
「黙れよ。お前に関係ねぇだろ」
「ごめん…なさい。言い過ぎたわ」
「……」
「だから、ね。部屋に来てよ」
「……」
「ヴィルダが欲しいの」
肩に手を回し、耳元で囁く女。これで教会につかえる汚れなき乙女を名乗るとはな
.
最初のコメントを投稿しよう!