第三章

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〈アメリside〉 嫌われたくない、好かれていたい……そう思うのはいけないことなの? 「……。いい妹、ね」 「……」 「俺、次の任務あるから行くけどよ。一つ、教えてやる。いい妹と好かれる妹は、似てるようで違うぜ?」 「………」 「ま、俺はどっちでもかまわねぇけど?」 黒い後ろ姿が人の中に消えるのを、私はただ無言で見送った。 返す言葉はなくて……ぎゅっと唇をつぐむ。 『いい妹と好かれる妹は、似てるようで違うぜ?』 わかってるわよ… それでも……わからないから。 どうすれば好かれるのか…わからないから、いい妹でいようと努力してきた。 嫌わないで欲しいから……努力するの。 今までも、これからも…私はずっとそう。 ただ、怖いだけ。 「……行かなきゃ」 巻かれた包帯をほどきながら歩き出す。 ほどけた包帯はパサリと地面に落ちた。 誰かがその包帯を足で踏む。 また誰かが踏んだ。 「……そんなものなのよ」 .
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