第四章

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〈アメリside〉 這い上がってくる悪寒。 それは蛇が獲物を絞め殺す感覚に似ていた。 全身を縛り、身動き一つ許さない。 「ただの神父ですよ。ただ、少しだけ予言のできる…ね」 「予言…?」 「まぁ、さほど気にしないのも手です。当たるも八卦、当たらぬも八卦、ってやつですから」 「それは占いって言うんじゃないんですか…?」 「そうかもしれませんね」 喰えない人。 笑みの一つ一つが微妙に違う意味を持っている。 「……もう用はないですか?だったら失礼します。明日の準備もあるので」 「はい、さようなら。…あ、アメリ」 歩き出した私を呼び止める声。 「なんですか?」 「最後に一つ。“希望”は時に“真実”よりも残酷です」 「……?」 「いってらっしゃい。帰ってきたら、おかえりって言ってあげますから」 「……いってきます。グレージィ神父」 .
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