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〈アメリside〉
うさん臭い神父から離れ、やっと一息つく。
自室へと続く廊下。
ふと、自室の前の人影が目に入った。
「ティア…」
「あ、アメリ。おかえりなさい」
「ただいま…。どうかしたの?」
「ううん。ただ明日からしばらくアメリに会えないんだなーって考えたらさ、ちょっと会いたくなっちゃって。礼拝堂の掃除、抜け出してきちゃった」
「……ティア…」
「気をつけて…ね?絶対絶対無事で帰ってきてね?」
「わかってる」
「約束だよ?」
「大丈夫よ。今回はお兄ちゃんもいるんだから」
「…そうね。アメリのお兄さんは強いものね。大丈夫…だよね?」
「ティア?」
なんだか様子がおかしい……
「ご、ごめんね。いってらっしゃい、アメリ。今日はゆっくり休んでね」
「うん…」
小走りで去って行く後ろ姿を眺めながら、あの神父の言葉を思い出した。
『あなた方兄妹の進む先には、赤き未来が広がっています』
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