第五章

5/11
前へ
/330ページ
次へ
〈アメリside〉 ・・・・・ 早朝の礼拝堂は静かでどこかストイックな雰囲気をまとっている。 その入り口にお兄ちゃんの姿を見つけて駆け寄った。 「アメリ、おはよう」 「おはよう、お兄ちゃん」 何気ない朝の挨拶。 それでも普段はほとんどかわすことはない。 任務が違えば、顔を合わせることさえないことの方が多いもの。 「お兄ちゃん」 「ん?、何だ?」 「お兄ちゃんはイマラリティに行ったことある?」 「いや、ないな。はじめてだよ。アメリは?」 「私もはじめて。あまり治安のいいところじゃないってことは噂できいたけど」 「あぁ、そうらしいな。…でもまぁ、俺達は任務で行くだけだから」 ………感じ始めた違和感。 私が気付いたんだもん。お兄ちゃんが気付かないわけがない。 私たちはいつまで“偽りの兄妹”でいられる───? なんで今更になってこんな不安を感じるのかはわからない。 でも…… 「いこ、お兄ちゃん。列車出ちゃうよ」 「あぁ、そうだな」 .
/330ページ

最初のコメントを投稿しよう!

37人が本棚に入れています
本棚に追加