序章

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〈アメリside〉 「なっ……」 「私だって暇じゃないの。用はそれだけ?なら行くから」 固まっているシスターを無視して歩き出す。 嫌い。 ああいう人種が一番嫌い。 イライラする。ムカムカする。 あいつらに似ているから………嫌いよ。 「神の名において、鎮まりなさいっ」 私にまとわりつく悪魔を一撃で振りはらう。小さな黒い塊の悪魔は、その衝撃で四方に飛び散った。そのすべてを順番に視界に入れる。 右上と左下は力も弱いし軽く祓える。 右下と真ん中の二体、左上の三体は直接触れて祓った方がよさそうね。 私の“眼”がそう告げる。 私の眼は悪魔のランクや能力、弱点を見抜く。 “魔眼(まがん)” 悪魔の眼とも呼ばれる。 そう、悪魔を祓えるのは悪魔の一部を所持している人間だけ。 それが、エクソシスト。 悪魔の一部を持ちながら、悪魔祓いを行う、最も矛盾した職業。 「……ごめんなさい…」 わかっていて、祓う。 .
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