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「本当に行かれるんですね…」
執事のレイモンド木崎が旅支度を
した私に名残惜しく言う。
「ああ、心配するな。私なら大丈夫だ」
「大丈夫……確かに『魔王様』なら大丈夫でしょう」
魔王。
この悪魔の世界、『魔界』を
収める大悪魔。
それがこの私。
女魔王、『黒龍』である。
100年前に死んだ父の代わりに
魔王になるのは本来、私ではなく
兄の『白龍』だった。
しかしその兄は父が死んだ直後に
「イヤッハァア!!俺フリー!!」
と不謹慎極まりない言葉を吐き捨
て魔王城を飛び出してしまった。
そのストライキした兄の代わりに
魔王になったのが、この私という
ワケだ。
あれから100年。
魔界の治安はさほど良くはならな
かったが、城を空けられるだけの
余裕は出来た。
「それじゃあそろそろ…」
そして私は今から旅に出る。
兄を探し出す旅に…
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