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六月に入ってすぐの頃。
梅雨入りにはまだほんの少し早いというのに、雨の日が続いていた。
俺は暗い天気が嫌いだ。
名前が青田 輝(あおた てる)なので、常に輝いた空じゃないと駄目だとか、そういう臭い理由ではない。
ジメジメとした空気が肌を撫でる。
視界の悪さが目を曇らせる。
アスファルトを穿つ音が耳をつんざく。
全くもって良いことなんて有りはしない。
……
それに……
何か嫌な……
事件が起こりそうで……怖い。
だって、降り注ぐ水滴は何だって消し去るだろ。
犯罪の証拠とか……
腹の奥に潜む、黒い塊を押さえている理性……
それから……
犯人の姿さえも……
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