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平成20年12月5日。
成田空港。
「本当に行くんですかィ?」
少年が少女に問う。
少女は漆黒の長い髪を風に遊ばせたまま笑みを浮かべた。
「もう空港は目の前にあるわよ?」
そんな土壇場で何を言い出すの?
そこまで言わなくても少年には分かっていた。
それでも少年は聞いたのだ。
少女の決意を鈍らせるために。
だが少女は美麗な笑みを浮かべたまま空港へと歩みを進める。
その後姿に彼女と同じ漆黒の髪の男を重ねた。
彼と彼女は似ている。
冷たい瞳で破壊を望むその様も
背筋を伸ばし凛と前を見据える姿も
絶望に絶望を重ねるその生き方も
そして愛を素直に囁けない捻くれた心も。
全てが全て同じで。
全てが全て異なっていた。
少年-沖田総悟は儚い笑みを浮かべ少女の後を追うように空港へと歩みを進めた。
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