プロローグ

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「あぁ?それ・・・どういう事だよ!?」 土方は生徒会の会長室で電話をしていた。 「だから、山崎!!!分からねぇじゃこっちが分からねぇって言ってんだろうが!!」 電話越しに怒鳴る土方は焦っているようだった。 その姿を生徒会副会長、秋坂雪音は困惑するように見ていた。 「だから!!何で相沢が!!」 土方が叫ぶ声。 出された懐かしい名前。 雪音の表情は更に困惑した。 「おい!!こら!勝手に切るなっ!!やまざっ!・・・っの野郎・・・・切りやがった。」 土方の怒りは頂点に達しており、電話相手である生徒会執行部の山崎退は直ぐに電話を切ってしまった。 そんな山崎に苛立ちが募り、土方は会長室にあるソファーに座っている雪音の向かい側のソファーに腰を下ろした。 「どうしたのトシ?」 「・・・砂奈は?」 雪音の質問には答えず土方は雪音に問うた。 砂奈とは宮瀬砂奈の事で土方の恋人であり生徒会書記でもある。 そして相沢涼子の隣に6年以上も居た人物である。 「居ないわよ?どうして?」 「居たら話せないからだ。」 土方の答えで何が言いたいかを雪音は即座に理解した。 「涼子の事ね・・・何があったの?」 真剣な眼差しで問う雪音に土方は答えた。 「あぁ・・あいつの行方が分からなくなった。」 放たれた言葉。 「え?」 困惑する雪音。 「相沢は行方不明だ。」 数秒の沈黙。 それは重たい沈黙。 そして雪音にとって・・・否、彼女と深く関わりを持つ人物達にとって重たい現実。 「待ってトシ・・・だって彼女はイギリスに!!」 沈黙を破り雪音は喋りだす。 「それに・・・行方不明って総悟は!?彼は彼女と!!」 取り乱す雪音を落ち着かせるように、そして動揺している自分に言い聞かせるように土方は口を開いた。 「山崎達が直ちに行方を捜している。それに、事故や死亡リストには載っていない。俺の親父に近藤さんが聞いてくれたらしい。今、海外の警察にも問い合わせしてくれている。」 「そんな・・・じゃぁ晋助は?彼にどう言えば・・・」 雪音は今にも泣き出しそうな瞳で土方を見る。 「絶対に言うな。」 それは余りにも残酷な現実。 「砂奈にも・・・万事屋部にも・・・桂や坂本にも・・・ましてや・・・高杉には絶対に言うな。」 その残酷な現実が今、押し寄せてくる。 雪音も土方も苦しさを唯、胸の奥底に押し隠すしか術は無かった。 「俺達だけの秘密だ。」
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