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「君は死んだ魚みたいな目してるね」
「ぁ?」
彼に出会ったのはその時だった。
たまたまコンビニに行ったときに屯していた連中の中に彼はいた。
なんとなく、話し掛けてみたら結構気が利くいいやつで、俺たちは仲良くなった。
言いだしたのは彼だった。
「中村」
「何ー?」
「好き」
「うん、俺も………………………って…え?」
何、を…言ったかと思えばそんな。
「な、なんで俺?」
「いや、何となく」
なんだよ、それ…
苦笑していると、不意をつかれるように唇をふさがれた。
「…これが理由のない男がすること?」
あくまで冷静に。
「何となく…したくなった」
「……………意味、わかんねぇよ」
どんな顔をしてるんだ、俺は。こんな歳にもなって…
そう俯き、つぶやくと、彼は少しうれしそうに笑った。
END
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