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不運だとおもう。
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20になり成人を迎え、地元に帰る。長い式のあとの同窓会。
昔の高校友達に久しぶりに会い思い出話に花を咲かす。
それはいい。それはいいのだが、俺には一つ問題がある。
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「あら、圭ちゃん?」
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昔よく聞いていた覚えのある癖のある口調。俺の思い出したくない過去。そいつはだんだんと近づいて来て俺の頭をくしゃくしゃと撫でる。
「やだー、こんな男前になって…。惚れ直しちゃいそう」
と、頬に手を当てニコニコする。ほんのり頬も染めて。
久しぶりに会ったから少しは変わってるかと思ったのに…
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いや、変わったといえば変わっている。あの頃より髪の毛は短いし程良く顔が引き締まって人当たりのよさそうな青年。端から見れば結構イケるんじゃないかな。自然と女が近づいてきそうなかんじ。
高校時代は本当に男かと思われる程にへなへなしていたのに。人っていうのは歳を重ねる度に変わってくんだな。
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でも1番変わっていないのは、性格だけか。
「元気そうだな」
「圭ちゃんこそ」
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久しぶりに見たこいつの笑った顔が、なんだかかっこよくてむかついた。
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END
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