0時限目 プロローグ

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少年は幼かった。そして少女も……。 朝からの雨も昼にはあがり、そらにはいくつもの大きな雲と青空が広がっていた。 春の日差しが水溜まりに反射して、きらきらと輝く。 あまり履き慣れていない黄色とピンクの長靴がその上を通り過ぎる。 彼等はいつもの丘へ向かうところだった。 そこはお気に入りの場所。 桜の木が一本だけ生えていて町が一望できる丘。 二人にとっての思い出の場所。 さわやかな風と暖かなひだまり。草の匂いと太陽の光。 そこは人間と自然が調和していた。
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