二章

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 だが、蛇比礼も元は奏華が使っていた式神である。まさかこんな形で再会するとは。  一体誰が、どうして。 (そうじゃないっ!)  今考えるべきことは。 (そうだ、落ち着け)  冷静さを欠いてはいけない。戦闘中は特に、と。  血が滾り、狂乱のうちに落ちるとしても。  頭の片隅でもいい。冷静にならなければいけない。  それは、ともすれば熱くなりがちな鈴華が、何度も繰り返し言われてきたことだった。 (呼吸を)  吸って、吐いて。  追いかける式神を、何度目かの爆発で崩れさせる。  式神は意志を持たない。それゆえに主が変わればその主の命令しかきかないし、どんなに攻撃しても死ぬことはない。主以外ならば、それこそ巫女でもなければ、封印することすらできないのだ。  術者を、倒さない限りは。 (……え?)  何か、ひっかかる。  何が?  ---何か、違う?  アレは、ダレのモノだった? 「鈴華っ、見えたぞ!」  淡い光を小脇に抱えた、長い髪の少女が、足を止めた。
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