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「美有、あなた……何をしてきたの……?」
不安げに瞳を曇らせる少女に、美有は黒髪を撫でていた手を止め、微笑を湛えたまま静かに彼女を抱きしめた。
「あなたが心配なさるようなことは何もありませんよ。私を信じて、今はお待ち下さい」
「美有……」
信じていないわけがない。美有は少女が信じる、この世でただ一人の存在だ。そんなこと、美有だって知っているはずなのに。
そんな言い方はずるい、と思いつつも、はぐらかす美有に食いすがることもできず、少女は柔らな胸に顔を埋めた。
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