第一章 16歳の誕生日

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「行って来まーす」 誰もいない家に向かって小さく呟く。 小さい頃に両親を失ってから、私はずっと一人暮らし。 親戚の人の所に厄介になった事もあったけど、馴染めなくて一人暮らしをさせてもらってる。 幸い、私は裕福な家に生まれたからお金には困らなかった。 今も両親が残してくれたお金で、何不自由なく暮らしている。 と言っても、そのお金を何のためらいもなく使っちゃうのは気が引けるから、自分でもアルバイトをして生活している。 (はぁー…学校面倒くさ…) 今はもう十月。 学校にもだいぶ慣れてきた。 入学した時から私には憧れていることがある。 それは、『親友』を作ること。 私って今まで、何でも話せる友達がいなかったんだ。 なんだか妙に人を信用できなくて…。 いつも仲良くしている友達の相談を受けることはあっても、自分のことになると話せなかったりする。  
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