第一章 16歳の誕生日

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相手は本当に自分を好いてくれているのか不安だった。 だから高校では何でも打ち明けられる親友を作ろうと意気込んでたんだけど、今の私には無理そう。 結局私は何も変わらない…。 心の底に、大きくて深い闇が眠ってる。 だけど私にはそれがわからなくて…見て見ぬふりをしているのかもしれない。 本当はその扉を開けてしまうのが怖いんだ…―――。 「おっはよー」 「おはよう」 クラスメートの挨拶に笑顔で返す。 『ねぇ、ねぇ!!あの人かっこいい!』 『あの子ちょ~キモくない!?』 朝から甲高い女の声が教室に響き渡っている。 (ウザイ…) 心の中で悪態をつく。 しかし表には出さない。 教室にある一番後ろの窓際。 そこが私の席で、静かに席に座って外を眺めた。 (今日も暇だな…) いつもと同じ教室で、いつもと同じような会話。 そんな話を聞いていても全く心が晴れることは無かった。 窓の外に目を向け、木の枝に残ったたった一枚の茶色い葉っぱを見つめる。 窓の外から風が入り私の髪を寂しく揺らした。   
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