第一章 16歳の誕生日

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「明日って満月の誕生日だよね?」 友達の藤林愛が私に話しかけてきた。 愛は小学生の時からの長い付き合い。 背が高くて頭が良くてスタイルも良い。 それに姉御肌だから昔からみんなの人気者。 それなのに昔から愛は私ととても仲良くしてくれる。 「うん。覚えててくれたの!?」 「あったり前よ!私が満月の誕生日忘れるわけ無いじゃん」 愛は悪戯っ子のような顔で歯並びの良い綺麗な白い歯を見せて笑った。 覚えてくれてたんだ…。 「へへっ…。ありがとう」 なんだか照れくさい。 「明日は楽しみにしといてね~!!」 そう言って愛は手をひらひらさせながら自分の席に戻っていった。 「はぁ…」 机に右肘をつきため息を漏らす。 こんな会話をしている時は楽しくて好きなんだけど、どうして…。 心の中のモヤモヤがなにか解らないまま私は考えるのを止めた。  
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