無力

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「なぁ…そろそろ休憩しようぜ、俺疲れた~…ずっと歩きっぱなしじゃねぇかよ」 夜の道をひたすら歩くふたつの影 女が先頭に歩いており、その後ろを男が歩いているようだ。 「夜は妖怪が一番暴れやすい時なの、こんな道端で休んだら、いつ襲われるか分からないでしょう?」 先頭を歩きながら言う女性は、滝夜叉姫。 黒い髪をひとつに束ね、赤い着物のような衣装を身に纏った美しい女性だ。 「平気だって!姫が襲われそうになったら俺が姫を護るから!」 そう言う男は蜘蛛丸という、妖怪だ。妖怪と言っても、普段の姿は人間と変わらず、黒い短髪に紫色の服を着て、左頬に縫われた痕があった。 「そんな簡単に言って…妖怪が手強いのはあなただって知ってるでしょ?」 「大丈夫だって!少しだけ!ほんの少しだけでいいから!」 「………はぁ…少しだけよ」 「おーありがとうございます!姫は流石だ!」 「…………」 そう…今私達はお父様の仇を討つための旅に出ている。 あの時の怨みを…晴らすために…
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