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「それは………姫…非常に言い辛いのですが…」
「な…何?」
「我が平家一族…滅ぼされました…」
「……………っ」
五月はその場に座り込み、泣いた。
「どうして…っどうしてそんなことに?!一体…誰が…っ」
「…姫…落ち着いて聞いてください…あなたの父上を討ち取ったのは」
「…………」
「藤原秀郷と平貞盛という者です」
「……このふたりが…お父様を…っ」
事実を知った五月はしばらく立ち直れなかった。
自分の家のあった所を訪れると、あるはずの家も焼かれ、なくなっていた。
しかも、通行人から
「あれ…平の娘?」
「生き残りなのね…可哀想…家族皆失って」
自分を哀れむ人物が多々いた。
五月は耐えられず、身を隠すようになり、ひたすら泣いた。
「……どうせなら私も…あの時に死ねば…こんな思いせずにすんだのに…」
五月はうずくまり、自分も一緒に逝ってればと何度も呟いていた。
無力…そう…私に力があれば…
力?
そうね、力があれば仇が討てる
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