17人が本棚に入れています
本棚に追加
「いやぁ!…っあ…」
しかし、熱は感じなかった。目の前に真っ赤な炎が踊っているのに、炎が触れてる感覚はあるのに、五月の体に熱さというものはなかった。
やがて炎が自分から離れた。
五月は黒髪を後ろに束ね、真っ赤な着物を着ており、左胸の上に蝶の刺青があった。
炎が着せてくれたみたいだ。
―…お前は今日から…妖術使いだ…人間ではない…私がお前に預けた妖術を使い、仇を討てば良い…―
「妖術…使い?私が…」
―お前の名ももう五月姫ではない…生まれ変わったのだ…そこで、私はお前に新たな名をつけよう―
「私の新しい名前…?」
―滝夜叉…お前は滝夜叉姫だ―
「…私が…滝夜叉」
―お前はこれから相馬の城に行け、そこにはあらゆる妖怪が潜んでおる…その中から護衛を引き連れなさい…―
「はい…」
―最後にお前に言う…仇を討てば…………―
「…分かりました、では、行って参ります」
"滝夜叉姫"と名を変えた五月は神社を出た。
妖怪の潜む相馬の城を目指して…
最初のコメントを投稿しよう!