無力

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「いやぁ!…っあ…」 しかし、熱は感じなかった。目の前に真っ赤な炎が踊っているのに、炎が触れてる感覚はあるのに、五月の体に熱さというものはなかった。 やがて炎が自分から離れた。 五月は黒髪を後ろに束ね、真っ赤な着物を着ており、左胸の上に蝶の刺青があった。 炎が着せてくれたみたいだ。 ―…お前は今日から…妖術使いだ…人間ではない…私がお前に預けた妖術を使い、仇を討てば良い…― 「妖術…使い?私が…」 ―お前の名ももう五月姫ではない…生まれ変わったのだ…そこで、私はお前に新たな名をつけよう― 「私の新しい名前…?」 ―滝夜叉…お前は滝夜叉姫だ― 「…私が…滝夜叉」 ―お前はこれから相馬の城に行け、そこにはあらゆる妖怪が潜んでおる…その中から護衛を引き連れなさい…― 「はい…」 ―最後にお前に言う…仇を討てば…………― 「…分かりました、では、行って参ります」 "滝夜叉姫"と名を変えた五月は神社を出た。 妖怪の潜む相馬の城を目指して…
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